Life & Style

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暑く、乾いた我慢の世界。それが今までのサウナ感だった。

しかし、世界に目を向けると、様々なサウナがある事を知る。

ある国では休息と思索の場であり、またあるところでは祭儀的な意味を持つ。

そしてその多くは美しい自然と共にあるのだ。

ノーサウナ・ノーライフ

サウナ発祥の地フィンランドでは、人々の生活の側にサウナが寄り添っており、

人口500万人に対し、約300万のサウナがあると言われている。

マンションに共用のサウナ、オフィスにサウナ、観覧車にサウナ、バーガーキングにサウナ。

まさにノーサウナ・ノーライフである。

「角を曲がればサウナにぶつかる」と言われるのも納得だ。

「サウナは静寂を美徳とする場所である」という考え方も古くからあるが、現代のフィンランド人は、むしろ反対。一番本音を話せる場所となっている。

悩んだり、落ち込んだりしている友人をサウナに誘いだすのは日常。

そこには、普段よりオープンマインドになれるというサウナの特殊な力が存在している。

日本でのサウナ文化

サウナのスタイルは各国で異なり、もちろんジャパンサウナと、フィンランドサウナにも多々相違点がある。

フィンランドのサウナ室の温度は、日本よりも20度程低い。時計も設置されておらず、テレビもない。

あるのは明かり取りのための小窓のみだ。

都市型のサウナ施設で行われている熱波を浴びせる催し、「ロウリュ」も存在しない。

本来「ロウリュ」と言うフィンランド語は、蒸気を作り出す事。あるいはその蒸気そのものを指す。

タオルを回し、熱波を浴びせる行為は「アウフグース」と呼ばれ、その発祥はドイツだ。

他にも相違点はあるが、これらの事からわかるのは、日本独自のスタイルが確立されるほどには、サウナブームが日本に訪れているのである。

様々なメディアからサウナという言葉を聞くようになり、熱心なサウナ愛好家のコミュニティも活性化している。

なぜ我々はサウナに魅力を感じるのか、フィンランドが公衆サウナの国であるならば、我々日本は公衆浴場の国。

世界で最もお風呂を愛する日本人が、サウナに惹かれるのは必然なのかもしれない。

ぼんやりする 贅沢な時間

サウナの効果として、「疲れが取れる」、「ストレスが解消される」、「免疫力が高まる」等々、他にも多々挙げられるが、一番のメリットは、五感が解き放たれる事。

つまり気持ちが良いと言う事だ。

思考は捨て、感覚のみの世界に没入する。

「サウナは教会に入る気持ちで」という金言もある。

照明が暗く、静かなサウナならばより良い。

五感が冴えわたっているサウナ室では、サウナストーンに当たる水の音でさえも、楽器の演奏を聴いているように感じる事ができる。

サウナ室を出て、水風呂でクールダウンし、休憩した後に訪れる状態。

「ととのう」状態である。

この瞬間を求めてサウナに通ってしまうのだ。

理想のサウナとは

街の銭湯、健康ランド、ジム等々、サウナは様々な場所にある。せっかく行くならば、良いサウナに行こう。

理想のサウナとは、どんなサウナなのか。

清潔である事、できれば静かで、落ち着いた雰囲気のあるサウナ室。テレビは無い方が良い。

高温すぎず、サウナ室の入り口にはヴィヒタが置いてある。セルフロウリュが行えるフィンランド式。

水風呂は17度以下で深い方が良い。

広い休憩スペースがあり、雨風を凌げる露天スペースもある。

充実した食事スペース。

挙げればキリがないが、自分の理想のサウナを追い求めるのも楽しみの一つである。

冷たい水でクールダウン

誰もが一度は、水風呂に何の抵抗も無く入っていく大人を見た事があるだろう。

しかしその人も、最初は水風呂が苦手だったはずだ。

つまり、慣れである。

サウナで十分に体を温めた後、ゆっくり水風呂に浸かる。

水風呂が「気持ち良いもの」として脳にインプットされるのを待とう。

「主役は水風呂」と言われるが由縁を理解できれば、一流のサウナ愛好家だ。

15度〜17度くらいが冷たくて気持ちが良い温度。

それ以上はやや物足りない。

それ以下になると、冷たい水風呂と呼べるだろう。

無防備な姿で過ごす穏やかな時間

サウナに入る人でも「休憩」という手順を行わない人が多い。

クールダウンした後、椅子に深く座る。あるいは寝っ転がり、一番リラックスできる状態を作る。

あらゆるネガティブマインドは消え去り、やってくるのはポジティブマインド。

目をつむれば、フィンランドの大自然を感じる事ができる程に研ぎ澄まされた感覚。

やがて鼓動が落ち着いてくると、静けさと共に外気の風を感じるだろう。

時間を手放す事ができる。

タイムレスな価値

フィンランド人のサウナ文化と、日本人のお風呂文化。共通しているのはタイムレスな価値の存在である。

我々に安らぎと癒し、楽しみを与えてくれる。

日々の暮らしにお風呂を必要とし続けてきた我々の生活の中に、サウナを、

一日のどこかに、あるいは週末に、取り入れてみてはいかがだろう?

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